静謐な祈りと世界に祝福を
月夜乃海花

相変わらず、特に何もない休日で
太陽に照らされながら汚い自室で
酒に呑まれ布団に倒れた。

何処かでは
寒いコンクリートの中、子供が
「おかあさん」
冷たい女の身体に悴んだ手で触れながら
最期、男に蹴られて動かなくなった。

何処かでは
銃を持つ子供が知らない人を撃ち笑って
「ざまあみろ」
違う子供は怯え泣いて震え泣きすすった。
最期、どちらの子供も血を流して死んだ。

そんな夢から帰った後
テーブルに手を添えてそっと酒に手を伸ばし
隣に君の懐かしく優しい気配を感じた。

そうか、君の命日は1ヶ月前だっけ。
子供の頃の記憶は忘れてしまうものだね。
なんて、独りで笑った。

せめて今日だけは世界に祝福を。
この部屋に立派なツリーは無いけれど
君や子供たちが眩しい光の中で
美しいツリーを見て幸せに過ごしている。

なんて、また独りで笑った。


自由詩 静謐な祈りと世界に祝福を Copyright 月夜乃海花 2021-12-25 00:47:03
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