わが弟は雪男
卯竜


わが弟は師走の生まれ、
誕生日には雪が降る。
故郷が初雪みるのは大抵、
わが弟の誕生日。

わたしと違って律儀なやつで、
盆と正月に帰省する。
うわばみの父と呑んで笑って、
真っ赤な顔して仮寝する。

いつかの正月、雪雲しょって、
やつは帰ってきたという。
滞在中は毎日雪で、
初詣にも行けやしない。
父さん母さん、やつ本人も、
あやうく風邪をひくところ。
「仕事始めだ、じゃあ元気でね」と、
去るなり雪は止んだという。

「何しに帰ってきたんだか」
電話でわたしに愚痴る母。
けれど声音は弾んでいます、
笑顔がばれてる嘆き節。

わが弟は雪男、
情こまやかな孝行もん。
きみのアネキに生まれたわれは、
ざらには居ない果報もん。



自由詩 わが弟は雪男 Copyright 卯竜 2021-12-24 17:50:38縦
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