屍斑と聖盃
あらい
点いたり消えたり、漏れや落ちがある、ひのあかりで。はなが曲る
悪趣味な画伯の私室で待ち望んだ。煉瓦色の長靴に(かざる)
ごわついた作り笑いに、耳元で囁く。ほころびて(わらう)
棄てられたものに新しい命を吹き込む。恥も外聞もかなぐり捨てて。
はぐくみ
―― ゆがめられた縞模様、ピアニッシモの(風がおさまる)
案の定。
「レースのカーテンをまいて、天使にしようか」
声を振り絞る、屈折した葉先には皮肉っぽいだけの柔らかな光
ありふれた食材に手を付ける、床に埋め尽くされる、脱衣
傘を差しかけるどんぐりの時期
憚る譚。
チクタク ごねるだけ、ヴェルベットの舌が海を巣食う、
すんだ音、弓なりの実。よりどころ、ともなって 顔ぶれを
前垂れに(差し汐)
防ぎきれないワイヤロープ。
並べる(夜具)
先駆ける祝い
頬を染める白檀、むちゃくちゃな神仏の光明
捕らえ縛る噴き出して汚す、本音を彷彿とさせる終尾
暗い顔つき
罪に問われることはない季節は次々死んでいく
そして今も口笛を花唄を隠逸する。(紫瘢の、あと)