ラディアの黒色槍兵団(二)
朧月夜
カーガリンデの土地では、
エインスベルが結界を張って街を守っていた。
そこにはもちろん、アイソニアの騎士の姿もあった。
エインスベルの張る結界は特別なもので、誰にでも作り出せるものではなかった。
ラディアの街の黒色槍兵団はこの結界に手間取った。
そこには、何もない空間が広がっていたのである。
そこは迷宮のような場所だった。どこにも出口などなかった、
ただ、彼らがやってきた場所であるラディアの街以外には。
この魔術を、エインスベルはその師オスファハンから受け継いだ。
それを名付ければ、「カバルナ・クー・ソランの結界」と言っても良いだろう。
この結界の形成には、虚無の魔神カバルナの寄与があったからである。
黒色槍兵団は、ただ手をこまねいてカーガリンデの街を見るしかなかった。
エインスベルにとって、この街を守ることはたやすいことではなかったが、
一度もその結界を破られたことはなかったのである。
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩