手のひらの石
木屋 亞万

手のひらにすっぽり
おさまった石
しばらく握りしめていた
握るものがあるだけで
力をぐっと込められた

あなたに渡すと
温かいと言う
返してもらうと
たしかに温かい

わたしの手の温もりと
あなたの手の温もりが
溶け合った温かい石

座っていた場所を
入れ替わってみたら
おしりに伝わる
あなたの温かさ

自分の温もりは
自分では気づけないんだ

大事に握っていた石は
なくても平気になったけれど
自分以外の温もりが
ないとさびしくなってしまった


自由詩 手のひらの石 Copyright 木屋 亞万 2021-12-21 21:40:08
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