最初の戦争
竜門勇気


雑貨屋にはなんでもあるよ
君は言う
曇ったガラス戸を開けてなかに入った
なにか甘いもの
なにかお腹いっぱいになるもの
なにか甘くない飲み物
できればソーダかペプシ

眠くならない化け物が
こわれた家具を
もっとこわそうとして
悪戦苦闘する
そんな映画を見に行こう
君を次の土曜日部屋から誘い出すために
嘘がうまくなる

雑貨屋にはなんでもある
ここには
曇りきった窓以外には
飽きられた甘いもの
飽きられた大きな菓子パン
飽きられたソーダ水がある

ひどく乾いた
運転席で
かわしあった言葉が
宝物に見えるぐらい
今日は飢えてる
滑り落ちていく星屑が
膝の上でいつまでも輝いている

つぎの真夜中に
きっと僕は
つぎの真夜中が続くうちに



自由詩 最初の戦争 Copyright 竜門勇気 2021-12-13 01:28:22
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