あっち
soft_machine
本日はうすぐもり
昨日までの寒気が
ぐっとやわらいだ宵だ
どれくらいからか
しだいに欠けてゆく月が
おおきな指さきの爪になって
あしたは、あっちだ
迷わないでおいで、と
指さしとんでゆく
星をともない
雲のぬい目をてらし
音もなく南天を漕ぎすすむ
そうか、あしたはあっちかと
おもうのだけれど
わたしの場合
すすむ道とは向きが異なるな
などと公園のベンチに見上げ
街光のうずにまかれていると
衛星のひかりなど微々たるものだが
それ以上にゆるがぬ
うつくしさを湛える
月に背をむける人
月に胸をむける人
空を見る人
見られる人
誰のあしたも、あっちだ