ストップ/ザ/シーズン/イン/ザ/サン
ちぇりこ。
冬のへその緒が春に巻きついて夏が死産した。父からの電話はそんな内容だった、ぼくは耳を疑った、それはミミが何かを画策したからに違いないと、ミミは実家の隣に住んでいる島崎さんちで飼われている九官鳥の名前だ、かん高い声でアンコ椿は恋の花をいつも歌っている、時々〜アンコ便りは〜のコの音を微妙に外す、子が外されたから、かすがいは留めきれなかった。
ぼくと父は、もうすっかり秋だね、と言う会話を電話越しに交わした、このご時世で実家に帰らなくなって二年あまりが経過した、あまってしまった二年を空になったピクルスの瓶に漬けてみたけど何も味はしなかった、夢中で瓶に漬ける行為を繰り返したけど、もうすっかり飽きたね、実家の庭の家庭菜園が季節外れの夏草でぼうぼうになってる夢を見た、お前もたまには草を刈れ、と父はそう言って電話を切った。