群棲
あらい
爪を立ててから、いくばくものこさずに 林を抜ける
台所の靴下にりんごが3こ並べている
生まれる前に焼いて捨てた手紙がある
きみのまえに あるはずだった。mother
赤い尾ひれがやがて
青白く浮かはれるくらいに
水葬に
腹水に 星々と太陽が輝いているよう
以後含まれた ベタ、だったもの
凷に埋められたタイムカプセルから
SOSの暗示が開き、薄明に再び黄昏に、霜が降りる
夢の中で
人々は動物にもどり
駆け足の未知は踏み荒らされた未開になる
降り注ぐ声、水ぶくれの指、手のひらのない肉。
再び雨
雫が盤面を(殴られたもの)を虹色に変える
腐った手足、腫れた胸。膿んだ肢体。むくれたのは、誰
傷跡に 事後に 裸の球根、潰れたまなこ
一瞬で解けた幻視に到達する
どこまでもついてくる ユウジンたち
(名づけられた)イロハ(描かれた)影である
錆びたファイル 破れた眼鏡 明かない天窓から
覗いて、きた。
灰が
赤いタオルが床に敷かれ
饐えた青磁の皿は かごいっぱいの苺を、手渡してくれる
黴のはえた洋館 永遠の庭園をぐるぐると廻って、生け捕る
手の届かない入口に対して 吊るされた鎖が、
杭で打たれたままで 捕らえられたうさぎしかない
さかさまになって 緩んでいる 微笑として 内側に向かって
おんなは、あるいてもあるいても