英雄の死
朧月夜
英雄の生を語るには、その死をもって始めなければならない。
なぜなら、死こそが人間の生き様の帰結点なのだから。
アイソニアの騎士のような男にとっては、なおのことだ。
なぜなら、その生は謎に包まれたものであるのだから。
アイソニアの騎士には、グロリオサのような花が似合う。
しかし、アイソニアの騎士に捧げられる花は、
いつもポピーのように優し気な花だ。それはなぜだろう?
アイソニアの騎士が、憐憫にあふれた男だったからかもしれない。
アイソニアの騎士の死に、ロマンティックな言葉はふさわしくはない。
その死はロマンスとして表現することは出来ない。
否、むしろ無機的な表現こそ、アイソニアの騎士の死には似つかわしい。
なぜなら、それは裏切りによるものだったのだから。
アイソニアの騎士は、もっとも信頼する友の裏切りによって殺された。
その友の名は、エイソスと言う。
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩