パンドラの筆跡
あらい

件の集合体の記憶が 藻が映えた時間軸に 絡まるは
  水母たちの引き算の都市。天の川を密かに
    その箱に透いたから 残照が酷く歯がゆく囁く

言伝の檸檬紅茶が 暈を増やす痕を滲ませている

  性別不詳の夜半
  血縁者の牢獄、
  土手に填める桜はまた 希望だった

若草色のフェルトペンがぼやぼや
 停止した白血球数の数だけ終の住処を建てる
 朧
 月は
  凷に被弾した魂を籠めて

 染み付いた遺伝子の徘徊 
  瞼の裏を破った時に来世にすげかえる
   ゴツゴツしたフシクレの展につらを咲かせるもの

       藁半紙なんて珍しいかぎりの 我ら
         、牢獄の民の咽頭に花と散った。
      とんだむかしを拡大鏡にうつした
        緑地は 流砂の肌を曝し
 浮き出る№を撫でるように 嘔吐く、

この手でだきあげるは
あなたは わたしなの

 腐った思い出をプレートに並べて、
 そして跡形もなく崩れ去る
と            すがすがしく目覚めるなら、
きは、                 悪くは無い。
    淫売を重ねる暗い道を照らす朱は
    終幕のように綴じられるとしても

「 瑞雲で有れば好いのに 」

  言い淀んだのは溶け残った琥珀糖で
  ずっとひかりは弧をえがいていたが
  ただ 夢のようだと思えばよかった

十三月に総て延べチギレユク、ひとかけの意味も知らずに

          未だしゃべり足りないひな鳥が
          新たな母を呑み込んでは
     また、とべずに啼いています

     そんなわざとらしい愛を熨せ
   ずっと奔らせていたい、我儘な時針に似せ
 おいおいと泣いている、さわりすらも訪トわずに
 栞の如く焼き尽くす旨、胡蝶のルーツを手繰る

思考は星状に受胎している 雲海の果て、その海路図の焦点


自由詩 パンドラの筆跡 Copyright あらい 2021-12-03 22:16:06
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