スケアクロウ
木葉 揺

ようやく畑にたどり着いた
遠くを見て佇む案山子ひとり
腕はだらりと垂れている
そばへ歩いてゆくと
帽子を取ってお辞儀をしてくれた

私もお辞儀をする
顔を上げると案山子は
帽子を持ってない方の腕で
遠くを指した

私を促すように指し続ける
帽子は胸の辺り

とまどう私にたしなめる目
期待外れを滲ませる

足取り重く私は歩き始める
どこだかわからない
案山子の指す方向へ




自由詩 スケアクロウ Copyright 木葉 揺 2021-12-03 15:52:35
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