マリトッツォ・バランス
ブルース瀬戸内
マリトッツォになりたいと
マリトッツォは思ってます
既になっているようだけど
到底にして満足いきません
大胆不敵に広がった口から
ローマの風を吹かそうとの
勢いを邪魔するクリームが
注目されている始末なので
どうにも困っているのです
クリーム側はクリーム側で
パンから飛び出したいぞと
前へ上へと力を入れますが
パンがそれを許さないので
これまた困っているのです
パン側もクリーム不在こそ
本望かと思いきや違うのか
意外と寂しいのか離さずに
複雑な感情でいるわけです
クリーム側も飛び出しても
その後の計画は特になくて
逡巡する気持ちがあります
そんな双方の力加減の結果
絶妙なバランスが生まれて
やけに後引く旨味となって
食べる者を飽きさせません
マリトッツォになりたいと
マリトッツォは思っていて
まだなってないと思うから
だからこそマリトッツォに
なってるのかもしれません