雨は降り続ける
ひだかたけし

この深夜
横殴りの雨が降り
街を冷たく濡らしていく

布団のなか僕は君のことを思う
遠くへいってしまった君のことを
二人とりとめなく温め合った時間のことなど

雨音は空虚を満たし、
やがて襲い来る虚脱に
身を丸める、思い切り

横殴りの雨が降るこの深夜、
僕は布団の国の王になる
そうして身を心地よく守りながら
たましいは雨音に呑まれて引き裂かれ
遠い遠い君のことを
ひたすらやっぱり思っている

雨は止まない、
街を濡らしたましいを濡らし
雨は降り続ける







 







自由詩 雨は降り続ける Copyright ひだかたけし 2021-12-01 04:46:35
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