空気コーヒー
ツチヤタカユキ

「21年間も、遅刻して、ごめん」

遅れてきた恐怖の大王が、
謝罪しながら、世界を終わらせる。
演技でイったフリしてる、不思議の国のアリス。
スワイプしまくって、世界を吹っ飛ばす。

眼球の受信料、払い忘れて、
視界全部に、
スクランブルが、かかってる。
味覚障害のミシュランは、
ドッグフードに五つ星を付ける。

テレパシー使える、温泉芸者が、
宛先不明の郵便物を、相手の脳に直接、宅配。
心がまだ、君を好きなまま、フリーズドライしてる。

本当は、
シャボン玉になるはずだった私は、
誰かに触れられただけで、
弾けて潰れる。
何もしないで、今日が終わった、
命の節約家。
季節を食べる、虫たちのせいで、四季が消滅した後の世界。

シザーハンズと、同じ博士に作られた、
全ての指が、ハサミの女の子。
全身を埋め尽くす、QRコード。
全てが怪しい、出会い系サイトに繋がる。

銀河鉄道で発生した痴漢事件。
外に逃げ出した加害者は、
たまたま横切った、隕石にしがみつく。

プーさんが、いつも上に着てる、
赤いシャツ脱ぐほどの熱帯夜。

肉眼で、見えるようになった永遠は、
空気コーヒーのような、水色をしていた。

捜査一課に配属された、天才バカボンの本官は、
繋がった眼球から、ビームを出して、
全ての雲を、クリーム色のピストルに変える。

人類全員が、
楽器に変身できるようになった世界で、
私は三絃しかない、
アコースティックギターに変わる。


自由詩 空気コーヒー Copyright ツチヤタカユキ 2021-12-01 02:49:39
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