よっぱらってるよ
竜門勇気


きみはぼくのブルース
部屋にころがってるもんでできた
さびた機械
コップのなかにたばこの灰を落として
きれいに笑いころげる

きみはきれいだ
きみはきれいだ
きみはきれいだ
ぼくはよっぱらってる

爪にかみのけをひっかけて
みどり色のいすにすわってる
さびた機械
とっくのむかしに死んだねこの話をしていようよ

この話をしようよ
この話をしようよ
この話をしていようよ
ぼくはよっぱらってる

どこからかきこえてくる
線路の上でかわし合うささやき
沈んだボートを泥がおおいかくす
ゆるやかな川面ではどこかで刈り落とされた木の枝が
少しずつ腐りながら流れてく
どこからかきこえてくる
誰かに傷つけられたゆび、つまさき
こわれたボートが都市の中心をめざしてながれてく
あらかじめ約束されたゴールの時間をすぎてく
少しずつ腐りながら流れていく

みどり色の革の財布をとりだして
机のうえにおいた
きみはたばこのすいがらを眺めてる
ぼくのすいがらと交換して
笑いころげる

きみはきれいだ
きみはぼくのブルースだ
きみはどうしようもない困りごとだ
ぼくはよっぱらってる

きみはきれいだ
きみはぼくのただ一つのブルースだ
きみはきれいだ
きみはきれいだ
好きにしてりゃいい
ぼくはよっぱらってるよ



自由詩 よっぱらってるよ Copyright 竜門勇気 2021-11-24 11:40:18
notebook Home