薄墓詩
あらい
深く深く息を吸う
それで灰の海に飛び込む
薄明にも満たない冷たいだけのうねりに、
なんども溺れながら。
何処へ 向かおうと言うのだ
朽ち葉の思慮はない
ただふるえる筆に少しの墨を入れて
、輝
く。
秋月をはっきりとえがくために、
虚栄心だけの
私の
船の袖に浮かぶ氷に似た、
薬指には
しこりのようなもの
きっと戻ってきた
ころあいなのです
傾げる陵の其処に横たわり、
わずかな香りが逃げていった。
そこに
鵲の鏡、
澄んだ水の中で泣き叫ぶ
私の夜はただ冷たかったのだと
萌葱色の循環を追って、
黄昏の紳士たちとともに
その碑に留まっていた
幻惑の
蝶は、
無事に羽化したようで
浪人は病葉に語りかけ、悠々と 沙羅を浸した。
自由になった燐光は点々と消え 季節は移りゆく
どうせ崩れてしまう道端の雪の花をこの掌に
捕ま
えた
まま
それでは
あなたはどこからきたのか
、
というところで
「はっとしたのだ。」と
、目が醒める