寒くなると悲しくなる
よんじゅう






こんばんは
こんばんはといえば夜ですが
夜に
なっても
まぶたの裏が痛みます
きっと
蛍光灯のせいでしょう
蛍光灯は
しろっぽくって
あおっぽくって
だから
蛍光灯のせいでしょう
そういうことにしておくと
夜になっても
まぶたの裏が痛みます
きっと
スイッチの
せいでしょう
スイッチといえばたかさかさんですが
たかさかさんは
鏡の前です
鏡のなかには
だれもいません
スイッチ
といえば
たかさかさんですが
だれでもない
たかさかさんはギチギチ歯を
磨いています
金属音のようですが
ブラッシングです
ひととおりギチギチすると
まっくろなクリーム色の
天井をみあげ
うがいです
うがいは
食道の奥まで
徹底的に窒息寸前が
だれでもない
たかさかさん流でした
わたしはというと
こどものいなくなった
公園の砂場に
ふとんを敷いて
もらっていますが
わたしはわたしです
しにぞこなった
たかさかさんは
だれでもない
たかさかさんに
手をふったあと
その手をおろさなくて
良い場所にある
スイッチにむかって
スイッチオンスイッチオン
こういうのでしょう
それから
わたしたちの部屋は
いっせいにともります



 


自由詩 寒くなると悲しくなる Copyright よんじゅう 2021-11-12 19:24:01
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