KAGEROU
あらい

太陽が真上にきた、真
         昼の。またたき。
           幻みたいな ものたち、
きっともう燃え尽きてしまったあとの、私の影。

                体内に宿る。
  格子模様の乳白硝子、空の小瓶。

だれかの骨片が流れる、      異国の地
時代錯誤に残された。      竹林の迷路 
                砂漠の足跡 
海と波打ち際の間で、惹かれていく。だれでも。

    いまだ煮え滾るほどあつい、
火星のひかりと 三日月にやられていたような、
きみにも 呪いをかけそこねた。

        さみしい、シンコペーション
        切り出されたラハイナヌーン

かわききった跡 くっついたまま外れないよう、
咥えこんだ。白い喉仏。だから、埋め尽くして。

青褪めた海に繋がれ   ラウンジから眺める 
澄んだ眼の 金魚鉢に、 取り込まれたままの、
傷だらけのオットアイ、そんなビー玉、本当は 
            ふたりの心臓だった。

          いつか 
   種を蒔くときに 
          凪いだ水面に、
浮かべたままの黒薔薇の花弁は、
向かい合ったままの 花蜜蜂をのせて、
       難破船のように青く漂い続ける、

舌触りだけの紫煙を 撒き散らした麝香に、
        空を切るカイナに、ただ想う。


自由詩 KAGEROU Copyright あらい 2021-11-09 00:44:03
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