いる

この夏も暑かった
扇風機が壊れ
目覚ましが鳴り続けた 主観的に
現実はどうだったのか
電柱がまだあって
巻きつけられた広告の針金の
結び目の先で
蝉が羽化していた

「  」

言いたいこと ねえ
国家には消滅してほしい
第一と第二の手段にはよらず

とはいえ
朝顔が咲きすぎて困ってはいないか
出られもしないのに
窓ばかり巨大だったり

「嘘だろう」が荒らし回った後の
白けた部屋の中で片足のスリッパの
最後の縫い目の二つほどがちぎれた
機能を失って
定義から外れるのは怖いね
そう言われても
傷のない丸皿を積み上げるしかなかった
ええ 仰ったその共感性には
欠けていたと思っています

やったことのないゲームについて
会ったことのない人間と話す

同時に

日付が変わるのを阻止できはしないので
まだ少し偽れる
時間は均等に流れる
という思い込みのもとに
隣の顔を見る
あくまでも間接的に

頼むからいないことにしてくれ
vs
わたしの存在を証明してください

「 」

蝉が脱け出した後に
当然だが
蝉の脱け殻があった


自由詩Copyright いる 2021-11-07 23:16:32
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