イツモノバショデ
竜門勇気


ロックンロールは
そ れ が な い と き
にだけ存在する
僕たちの影である

無償の愛は
発 生 し な い
今ある分で全部
今あるのがすべて

ある日緑色が
とてつもなく薄く見える
そしたら始まりさ

何も知らない
柵の中のポニーたちが
いっせいに振り向く

僕の感性は
生まれたときから
完成している
何も美しくは感じない
ただ、人懐こい野良猫みたいに
転げて陽を乞うだけ

そ れ が な い と き
その気持ちは
発 生 し な い

僕の感性は
生まれたときから
存在しない
容れ物だけあって
ただ、複雑なだけの回路が
ショートした痕跡があるだけ

イツ
生まれたときから
モノ
僕の中身が
バショ
容れ物の中

ロックンロールは
そ れ が な い と き
ことさらに鳴り響く
無償の愛とやらは
発 生 し な い
から奪い合う

みんなで暴れような
壊してこうな
みんなで殺し合おうな
奪い合おうな

イツモノバショデ
イツモノバショデ
不足が存在だと思いこんで
壊し合おうな
奪い合おうな



自由詩 イツモノバショデ Copyright 竜門勇気 2021-11-07 22:58:57
notebook Home 戻る