宇宙の風道(改訂)
ひだかたけし
この夜に目醒め
この夜底に触れる
私にはもはや
親兄弟家族親族はなく
現世的無縁仏だ
円やかな現世孤児だ
そこでは
私という存在が剥き出しで
そこでは
私が真っ裸のすっぽんぽんで
実に孤独にスッキリとしたものだ
恐怖と歓喜の段々畑
うねりダイレクトなコンタクト
この夜の底でこの柔らかな底で
私は限りなく境界の縁に触れる
私だけの死の門を垣間見る
(門番は豪壮で醜悪な私の分身に過ぎない)
静かに、静かに
夜底はやがて夜明けと共に
紫から橙、黄から荘厳な黄金へと
染め上げられていくことだろう
私はその瞬間を捉え
からからからから
螺旋を描き昇りゆく
宇宙の風道に乗れるだろうか