怒りの劫火で
平瀬たかのり

 陽キャ、だと
 陰キャ、だと
 
 これほどまで人間を嘗めた言葉が
 かつてあったか
 これほどまで父母を愚弄した言葉が
 かつてあったか
 これほどまで青春を否定した言葉が
 かつてあったか

 答えてみろ
 なにをもって胸を張らせ
 なにをもって俯かせようとしているのか
 
 その言葉を
 目にしたなら、耳にしたなら
 
 穏やかな陽光降り注ぎつづける
 凪いだおまえの詩の海を
 ひとときに
 波濤荒れ狂う
 嵐の海に変えてしまえ
 痰壺に変えてしまえ
 肥溜めに変えてしまえ
 吐瀉物あふれる便器に変えてしまえ
 ヘドロまみれの排水溝に変えてしまえ
 そして口にするのもおぞましい
 その言葉をぶち込んで
 怒りの劫火で燃やし尽くしてしまえ
 怒りの劫火で燃やし尽くしてしまえ


自由詩 怒りの劫火で Copyright 平瀬たかのり 2021-10-13 10:42:37
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