奈落の底へと
坂本瞳子
時計の針が進むのを見て安心する
これが止まってしまったらどんな不安に陥るのだろうかと
心配してみたりもする
パニックを予想してみたいのだろう
あらかじめ心の準備をしたいのか
平穏な日々を過ごしたいと思っているくせに
予期せぬ出来事を待ち構えている
相矛盾する背中合わせのアンバランスが
日々の平和を掻き乱すのを欲している
二つに分かれていく自分を
もうこれ以上止めることはできないと
自覚しながら堕ちてゆく
自由詩
奈落の底へと
Copyright
坂本瞳子
2021-10-12 22:47:17