迷言は今宵も
坂本瞳子

ふと込み上げた切なさが
とどまるところを知らず
ほとばしるほどの
この感情の名前を知らず
どうすることもできず
戸惑うばかりの時間が過ぎゆく

真夜中が訪れるほんの少し前
ほんのりと輝く月明かりの下
流れ行く薄暗い雲に自らの想いを重ね
剥き出しの感情が叫びだすのではないかと
恐れおののきつつもなす術はなく
闇に葬られることを願っている

明けない夜はないけれど
いっそこのままでいたいけれど
もうなにがどうなってもいいのだから
そんな風にも思っているくせに
どこかに逃げ道を探している
ただただ彷徨うばかりの夜は
まだ続いている


自由詩 迷言は今宵も Copyright 坂本瞳子 2021-10-02 22:47:50
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