静物
末下りょう


わたしという輪郭の綻びから わたしと呼ばれた質量のような体積を 面積として再現するドットの集積の確率に 虚ろに ───



わたしが感じているか感じていないかに一切 関心を示さず運動を完遂する
液状の冷えた暗黒にびしょ濡れて

破裂音が等間隔に反響する

声もなく 空洞を象られながら
塞がれた穴にあたらしい闇と風がたまってゆく

涙を追い抜く眼球が捕らえた残像より鈍重にわたしは純化する

音もなく果てたこの男は 星のない夜空


自由詩 静物 Copyright 末下りょう 2021-10-02 13:50:06
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