二十一歳に書いた歌詞
板谷みきょう

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 『みっく』
火の付かない石油ストーブのせいで
部屋の中 肌寒いね
僕は君の部屋の中とりとめもなく話し続ける
「寒くない?」 の尋ね言葉に 僕痩せ我慢
押し入れからは桃色のちゃんちゃんこ
ちゃんちゃんこを着た君はこすもすの様だね
羽織って君は又
僕のまとまらないとりとめのない話を
可愛い笑顔で聞いている

オーブントースターで焼いたホットケーキは
パンの様 おいしいね
僕は君の白いギター音合わせて唄い始める
「録音したい。」 の話し言葉に 僕照れ笑い
持って来たのは大切なカセットテープ
ちゃんちゃんこを着た君はこすもすの様だね
座って君は又
僕の突っ掛かり思い出し唄う歌を
可愛い笑顔で聞いている

*★*――――*★*

『すすき野原で見た狐』
夕陽が沈んだその後に 酒にうかれて千鳥足
月の明かりで見つけたものは 娘に化けてる いたずら狐

星の降るような空の下 木の葉を頭に宙返り
なかなか娘に化けきれず くるりくるくる いたずら狐

野原の細道 座り込み 徳利片手にちびちびり
酒の肴にするはずが いつしか歯痒く励ます身

何処かひとつを化け残し 木の葉を変えては くるくるり

徳利が空になった頃 みごと狐は娘の姿
やっとのことで娘の姿 ふと こぼした穏やかな笑顔

そのいたいけな娘の仕草 我を忘れて立ち上がる
月の光に照らされて それに気付いた いたずら狐

汗にまみれた顔赤らめ ペロリ舌だし すすきに消える
我に返って追ってはみたが 何故だかそこには かんざし一つ

すすき野原で見た狐 誰ぞ所在を存ぜぬか

すすき野原で見た狐 誰ぞ所在を存ぜぬか

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自由詩 二十一歳に書いた歌詞 Copyright 板谷みきょう 2021-09-28 22:26:39
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