水中花
坂本瞳子
オレンジが煌めく
輪切りのそれが濃厚な液体の中で鈍い輝きを放つ
それをいつまでもいつまでも飽きることなく眺めている
この汚れきった心の中のように
世知辛い闇夜を彷徨うのを抗うかのように
氷の塊に阻まれることもなく
ただ優雅に浮かんでいるのではなく
飲み干されるのをいまかと待ち望んで
恋焦がれて
燃え尽きてしまう夢を見ながら漂っている
自由詩
水中花
Copyright
坂本瞳子
2021-09-22 22:22:59