ほし
木屋 亞万

流星の獲れる量が減ったらしい
もうあまり祈らなくなった
風も長くは続かない
息をするのが苦しい
湿った土のにおい
吐いた息はすぐに持ち去られる
誰かに踏まれて
ひしゃげたままの火曜日
もうあちこち剝がれ始めている
このまちに何粒くらいの雨が降ったのか
夜が端から傷んできて
応急手当のテープの劣化
おにぎりに砂が混じる
食べるのが恥ずかしいので
しばらく誰も見ないで欲しい
どこに行く予定もないのに
夜道を走り続ける
飽きたら帰らなければならない
甘さに食道を焼かれながら
身体のサイズが合わないせいで
あちこちの筋が張りつめる
空を見ても星は見えない
何が悪かったんだ
ちぎった灯りを投げても
すぐに落ちて消えてしまう
あっと思った時にはもう
どうしようもなく汚れてしまっている
もっといい未来があったのかもしれない
甘やかしたのは誰だ
道の両側は壁に覆われている
背中にシャツを張り付かせながら
走るか歩くか
見上げれば雲が出ていて
もう何も見えない

きっとまだ
星はこれから流れ始める
走れ走れ
苦しくても暗くても
手の届くところに
星が来たとき
この手で無事につかめるように


自由詩 ほし Copyright 木屋 亞万 2021-09-20 02:16:21
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