置き傘
微笑みデブ




吐き出した言葉はもう
戻らないと傘が言う
ほころんだきみのスカート思い出して


夕陽に滑り込むように電車が来て
ホームにひとが押し寄せ
「忘れちゃえ」と口を揃え
涙を連れ去る


ガードレールにもたれかかり
引き上げた思い出を見る
「頼りない」と手で押された
背中はまだ重い


誰かを守る光になりたい
誰かを守る光になりたい
なりそこないのねぐらで
ピカピカを拾う意味を見つけた

ひとつふたつ変わらないものがあって
みっつよっつ変わってしまったものは
きみとぼくのおかしな残像だけ


吐き出した言葉はもう
戻らないと傘が言う






自由詩 置き傘 Copyright 微笑みデブ 2021-09-19 03:11:55
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