置き傘
微笑みデブ
吐き出した言葉はもう
戻らないと傘が言う
ほころんだきみのスカート思い出して
夕陽に滑り込むように電車が来て
ホームにひとが押し寄せ
「忘れちゃえ」と口を揃え
涙を連れ去る
ガードレールにもたれかかり
引き上げた思い出を見る
「頼りない」と手で押された
背中はまだ重い
誰かを守る光になりたい
誰かを守る光になりたい
なりそこないのねぐらで
ピカピカを拾う意味を見つけた
ひとつふたつ変わらないものがあって
みっつよっつ変わってしまったものは
きみとぼくのおかしな残像だけ
吐き出した言葉はもう
戻らないと傘が言う