この秋、神明 新たな始まり
ひだかたけし
通りすぎる街並みには
金木犀が甘い香を放ち
賑やかだった蝉の鳴き声は
示し合わせたかのように静まり返り
秋が熱した夏の背を押しやって
青く青く立っていた
あゝまた来たのだな
わたしは思う
幽明境を異にする
魂と魂の季節が
世界の遠い遠い地平を越え
互いの名をあちこちで呼び合う
声と声の木霊する
透徹として澄明な季節が
宇宙の旋回する波動
どよめく此処に
深く潜行し
大地を蹴る
高く飛翔し真実を掴み取るため
世界から投げ掛けられる問いに
沸き立つ海に没しては
正しい応えを導くため
この秋、神明 新たな始まり