つもりではなかった
竜門勇気
早く酔っ払って
何もかもどうでも良くなりたい
もしあいつらが、今夜君んちで飲み会やろうぜって言ったとき
いいぜ、とか返事して
帰り道にコンビニで「世界一硬い金属バットありますか」って
笑いながらレシートを受け取れるぐらい
どうでも良く
どうでも良くなりたい
早く酔っ払って
何もかも楽しくなりたい
喋り続ける貯金箱が黙った日に
にこやかに指輪を差し出す
沈黙、婚約、誓いの言葉は盗作さ
これは冗談じゃない
これからも僕は僕からうまれたものじゃない言葉で
君と話すだろう
お互いに知らない言葉で今日あったことを共有するつもりさ
こないだなんてひどかった
偶然に合わせたやつが言ってた
「お前らずっとポケットの中の糸くず見せあって笑ってたぜ」
なんでだろう
何もわからないのに満ち足りてる
与えられたもの以外で埋められた空白のほうが
喜んでられるのかもな
どういう意味であれ、てやつさ
早く、早く
酔っ払わなきゃでなきゃ
経験が僕を追い越してってしまう
ブレーキがかからないなら
アクセルなんていらない
ここでじっとしてたほうがいい
痛くもないし、寂しくもない
止まれないなんて
進めないことよりよっぽどマシだよ
早く早く
酔っ払わなきゃ
早く早く
酔っ払わなきゃ