夜歩く
藤原絵理子
雑草が伸び放題になって
家庭菜園だったらしい一画に
突き刺さったまま 残された
ステンレスのスコップを覆い隠している
ときおり救急車が
音を消したままひそやかにやって来る
パトライトに合わせて
閉じた雨戸が点滅を繰り返す
爽やかな朝には
AV女優と友だちになれそうもない
いずれ来る老いと 今がうまく繋がらない
救急車は大通りに出た瞬間に鳴き始める
街はまた静けさを取り戻して
街灯が白々とアスファルトを照らす
自由詩
夜歩く
Copyright
藤原絵理子
2021-09-12 00:17:36