水影
こしごえ
水の惑星の縁に群れる雲は
答のない問いをささやき
そよ風といっしょに耳をなぜる
私は私の影なので
生き身は自然からのかりもの
魂は何とは言い切れない何かへとつながっている
雪国の
六つの花の降りつもった層が解ける日和に
いずれどの道死はおとずれるのだから
しんみりと深呼吸
和室の深夜
オールド ファッション グラスにいれてある
水道水を口にふくみ終えたあと
円卓上で 愛用万年筆が さまざまな紙に告白をする
そうしてまわりまわって沈黙にいたる
せせらぎの遠さに
万有引力の気配がする
二度とない初めての朝をむかえれば
下弦の月に見つかる
無数の星を宿した宙はもはや
影の眠る墓
むかしむかしのおもい出
あえてよかった
光
気が付けば 言うことなし
と書いた
岸辺に立ち
悲しいことも 刻まれている
歴史のつづきを重ねて行く
あなたのいのちと