リヴィジョン / ある女の子篇
末下りょう



炭酸ジュースしゃかしゃか振ってプシュッ た ら、あ
シュワッ 近未来

キリンみたい 、な
水銀灯の 塗り絵みたいな光のなかを
コンビニ袋が
虫の知らせみたいに応答して
海のほうに飛んでく
みたい


いつになくどこにもフルサイズのない
夜の底



薄紫のアスファルトに
隕石みたいに
転がるキャベツを
短パン姿のサーファーがレタスじゃんって指差す
パサついた
金髪を揺らして


いつになくどこにもフルサイズのない
夜の底



遠のくドラッグストアの明かりに照らされた わらうようにゆがむ手を振って
感応信号を横切り
潮の匂うほうに
引き寄せられる

ひび割れだらけのアスファルトにしゃがんで 猫に餌をあげる聖人の手順だけが この町の可能性を静謐に所有してる
ような



色とりどりの 車だった塊が積み重なる 廃車場のフェンスから
はみ出てる棒切れの
一本を
引き抜いて
いいかげんクソまじめにわらわないように それをわらうことなしにわらえないくらい
近未来 身にまとって 過去を代表して見せかけのいまを襲撃しにいく


いつになくどこにもフルサイズのない
夜の底



ながくゆるい下り坂の カーブの
底に

海が待っててくれるうちに



自由詩 リヴィジョン / ある女の子篇 Copyright 末下りょう 2021-09-05 14:50:58
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