リヴィジョン / ある女の子篇
末下りょう
炭酸ジュースしゃかしゃか振ってプシュッ た ら、あ
シュワッ 近未来
キリンみたい 、な
水銀灯の 塗り絵みたいな光のなかを
コンビニ袋が
虫の知らせみたいに応答して
海のほうに飛んでく
みたい
いつになくどこにもフルサイズのない
夜の底
の
薄紫のアスファルトに
隕石みたいに
転がるキャベツを
短パン姿のサーファーがレタスじゃんって指差す
パサついた
金髪を揺らして
いつになくどこにもフルサイズのない
夜の底
で
遠のくドラッグストアの明かりに照らされた わらうようにゆがむ手を振って
感応信号を横切り
潮の匂うほうに
引き寄せられる
ひび割れだらけのアスファルトにしゃがんで 猫に餌をあげる聖人の手順だけが この町の可能性を静謐に所有してる
ような
夜
色とりどりの 車だった塊が積み重なる 廃車場のフェンスから
はみ出てる棒切れの
一本を
引き抜いて
いいかげんクソまじめにわらわないように それをわらうことなしにわらえないくらい
近未来 身にまとって 過去を代表して見せかけのいまを襲撃しにいく
いつになくどこにもフルサイズのない
夜の底
に
ながくゆるい下り坂の カーブの
底に
海が待っててくれるうちに