夜を生きてゆく
秋葉竹


なにをしていても時は過ぎてゆく
その道を
歩き続けてゆく

やわらかな蝶が舞う
あかるい春も
逃げられない太陽に
照らされる過酷な夏も
月をみあげて愁う
静かな秋も
希望もみえず心まで凍る辛い
悲しみの冬も

たとえばいまは、
夏かも知れず
あるいは心は、
冬かも知れない

死をそばに置いた
凄い時代を生きている


なにをしていても時は過ぎてゆく
その道を
歩き続けてゆく


あのときあれをやっていればとか
いつも同じいい訳ばかりしても
こんな悪習慣はきっぱりやめてやる
けれどそれはいつも「あしたから」

けれど生きてゆく
やさしい時もあったから
やさしい人もいるから
やさしい歌も流れるから
迷いながらでも
生きてゆく、生きてゆく


慈しみなんて
夜になれば静かにやって来るのだけれど
だから
夜にはたまには
泣かずにはいられない夜があったり
するのだけれど

ただいつも夜は
どんなに長い夜も
かならず明けて来たから

いつか
死にたいと願ってしまった夜でさえ
あれほどの豪雨の夜も
ちゃんと
明けたのを
知っている

知っている

そしてそのことを

二度と忘れない

夜を生きている


なにをしていても時は過ぎてゆく
その道を
歩き続けてゆく


それを忘れずに

きっと生きてゆく

ずっと生きてゆく









自由詩 夜を生きてゆく Copyright 秋葉竹 2021-08-27 02:16:11
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