留守番
凪目
行ってほしくない
カプセルを割って記号を盗む
調合の腕もないのに試した
頼りは他になかった
免罪符にもならない
実りは業にくべた
治療痕を掻く
なにかいる気がして
ある朝、窓を開けると夜で
それ以来目を閉じることができない
誰も彼も
清潔な舌を定規にして
部屋を渡る
部屋を渡る
列は長い回廊で滞る
長い回廊で滞る
行かないで
不純物を拾った
こんな部屋の中で
宇宙の乳歯だと予報士は言った
どこから落ちてくるのだろう
空想の窓の
隙間がゆらぐためだろうか
自由詩
留守番
Copyright
凪目
2021-08-27 00:29:00