アンペア
末下りょう


静電気さえとどかないみなそこにデモクラシーとその日暮らしはこない


泥と石のくにのくるわの
火のないねむりの
起源と痕跡

ふと 火山に生まれ 地震で育ち 桃をくわえたカラスはしらす


手のうえの青いつつみはそらの屍だったことを


解体されたツチクジラと撃たれたうさぎの恵みを分けあい

花のない夢に
夢のない花を活ける
風につながれたしこめの髪は 雨雲を海岸線にみちびいて

光が音に変わる隙間に色彩はひそむ


紙風船
less is more

砂浜に残された一本の電柱が 無数の蟹を吐きだしながら朝を迎え入れる


電流の戦はこの憶い出をきみに伝えない



自由詩 アンペア Copyright 末下りょう 2021-08-26 13:35:36
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