アンペア
末下りょう
静電気さえとどかないみなそこにデモクラシーとその日暮らしはこない
泥と石のくにのくるわの
火のないねむりの
起源と痕跡
ふと 火山に生まれ 地震で育ち 桃をくわえたカラスはしらす
手のうえの青いつつみはそらの屍だったことを
解体されたツチクジラと撃たれたうさぎの恵みを分けあい
花のない夢に
夢のない花を活ける
風につながれたしこめの髪は 雨雲を海岸線にみちびいて
光が音に変わる隙間に色彩はひそむ
あ
紙風船
less is more
砂浜に残された一本の電柱が 無数の蟹を吐きだしながら朝を迎え入れる
電流の戦はこの憶い出をきみに伝えない