咒
凪目
私は
ぱっくりとひらいた、むきだしの
乾きと血と脂の湿りと
ほぐされることない鋭敏な
線のからまりからなる
肉
触れれば刺し
眼差せば響く
悠久の吐き気
締めつける雨を
食いしばる震え
胸を砕いて湧きやまないあぶく
痩せた呼吸を
繰り返す
輪
真っ赤に膨らんだ、風を切る殴打、喉をけずる叫び、饐えた甘苦い信念に
魘される浅い夢が産んだ
鋒
その
なれのはて
私は
ちからずくでつくりかえた
くたびれた皮を脱いで
悪意のない指を、目を
あざけり、けいべつする
生乾きの畸形
あなたが飢えて
しずくを希うために
核の核まで握ってしぼり
折れたなきがらまでふみつける、その足を
私は
笑って肯定する
鞴
あなたがいまつぶしているのはあなただ
はは
抜け殻を
まさぐって繊維を束ねても
図鑑の中には誰もいない