凪目

私は
ぱっくりとひらいた、むきだしの
乾きと血と脂の湿りと
ほぐされることない鋭敏な
線のからまりからなる

触れれば刺し
眼差せば響く
悠久の吐き気
締めつける雨を
食いしばる震え
胸を砕いて湧きやまないあぶく
痩せた呼吸を
繰り返す

真っ赤に膨らんだ、風を切る殴打、喉をけずる叫び、饐えた甘苦い信念に
魘される浅い夢が産んだ

その
なれのはて
私は
ちからずくでつくりかえた
くたびれた皮を脱いで
悪意のない指を、目を
あざけり、けいべつする
生乾きの畸形
あなたが飢えて
しずくを希うために
核の核まで握ってしぼり
折れたなきがらまでふみつける、その足を
私は
笑って肯定する

あなたがいまつぶしているのはあなただ
はは
抜け殻を
まさぐって繊維を束ねても
図鑑の中には誰もいない


自由詩Copyright 凪目 2021-08-26 00:05:18
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