雨雲
やまうちあつし
雨雲と友達になった
郊外の公園で寂しそうにしていたので
声をかけたのだ
私は自分から
見知らぬ人に声をかけるような
人間ではない
相手が雨雲なればこそ
そんな気まぐれを起こしたのかも
これが北風や太陽であれば
黙って素通りしていただろう
小高い丘の上
芝生の上に腰掛けた私の横で
雨雲はふわふわ漂いながら
これまでにあったことや
なかったことをぼそぼそ語る
私は聞いているような
聞いていないような曖昧な
相槌をうちながら
吸えないタバコを
ぷかり、ぷかり
自由詩
雨雲
Copyright
やまうちあつし
2021-08-24 10:33:18
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