おやすみ
Lucy

 

部屋の灯りを消し カーテンの隙間を覗いたら
霧に滲んで電線にひっかかっている
ミカンの房のような月がいた

おやすみ 泣き虫の月


夜の周縁を震わせて
電車が横切ってゆく
拡げた折り紙の角が皺寄る
警笛が電柱に絡みついている

おやすみ 泣き虫の警笛

くたびれた油紙の破れ目から覗く
魚屋の裸電球のように
煤けた柱に括り付けられ
地球がぶら下がっている
傷だらけで
汚穢まみれで
青く滲む

おやすみ
泣き虫の地球

明日会おうね
明日はきっと僕が泣いてる
また君に会えた嬉しさで


自由詩 おやすみ Copyright Lucy 2021-08-20 21:25:24
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