エレクトロ・バウンド
竜門勇気

終いには腐った何かが
巻き起こした反応として
三月の冷たくなる風が
動かした自然として
忘れ去られていった

コンセントはどうして
誰にも開かれていたんだ?
そんでこのざまだ
電気がギターをならして
世界はぶっ壊れた

始まりの五月
偽物の博士がしゃべる
「本物の日が来る、偽物でなければ」
大したことのないありふれた妄言
壊すものなんてありはしない

他にすることのなかった僕らは
ガレージでアンプのボリュームを
上げることだけに注力した
本物の日にふさわしい音楽が必要だろ?

最初は筑波、次は長春、最後は月範
地球上で何度も爆発が起きた
そしてロックバンドは最後の一人まで死に絶えた



自由詩 エレクトロ・バウンド Copyright 竜門勇気 2021-08-11 20:26:39
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