夜にそなえる
末下りょう

蝉の鳴き声と赤ん坊の泣き声がこだます 夏の朝に
いくつめかの台風の いくつもの風が小さく渦巻いている

まだ
窓辺の風鈴を鳴らすこともなく

起き抜けの肌を
割れた鏡のような朝の破片に
微かに切らせて

畳のへりで 毛づくろいする風を踏まないよう
一応の夜にそなえる


自由詩 夜にそなえる Copyright 末下りょう 2021-08-07 13:51:57
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