希望
やまうちあつし

ビルの隣で入道雲が
街を見下ろして呟く
   
何度目の夏
何度目の回り道
何度目の絶望
何度目の忘却
何度目のおわかれ
何度目のおやすみ
何度目のおかえり
何度目のただいま
   
何度目でも一回目
一回きりであることで
かえってそれは
   
入道雲は苦笑いする
あらゆるものが
見えているだろう
   
幼子がキャッキャと笑う
何度目の希望



自由詩 希望 Copyright やまうちあつし 2021-08-06 09:23:10
notebook Home 戻る