西瓜な季節
そらの珊瑚
縁側に座り西瓜を食べながら
その黒い種を口から飛ばす
黒々として立派な弾丸は遠くまでよく飛んだ
白くて未成熟な種は気がつかずに食べてしまったかもしれない
夜、蚊に刺されたあとをかきながら
飛び立っていった種のことを思った
線香花火がはじける一歩手前のくるくる燃える種のことを思った
土に根付いた種が芽を出して
雨やお日さまをとりこみながら
緑の手をからませあって
うっそうとした西瓜ジャングルになっているところを夢見る
今も
みんなみんなどこへ行ってしまうのだろう
手の中にあったはずの時間は
手を放したとたんに消え
行方は追えないことは知っている
だけど
想うだけで 心は
ないけれど確かに有る優しい場所に通じる