西瓜な季節
そらの珊瑚

縁側に座り西瓜を食べながら
その黒い種を口から飛ばす
黒々として立派な弾丸は遠くまでよく飛んだ
白くて未成熟な種は気がつかずに食べてしまったかもしれない

夜、蚊に刺されたあとをかきながら
飛び立っていった種のことを思った
線香花火がはじける一歩手前のくるくる燃える種のことを思った

土に根付いた種が芽を出して
雨やお日さまをとりこみながら
緑の手をからませあって
うっそうとした西瓜ジャングルになっているところを夢見る

今も

みんなみんなどこへ行ってしまうのだろう
手の中にあったはずの時間は
手を放したとたんに消え
行方は追えないことは知っている

だけど
想うだけで 心は
ないけれど確かに有る優しい場所に通じる


自由詩 西瓜な季節 Copyright そらの珊瑚 2021-08-02 10:17:15
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