悪い約束
竜門勇気


唾が飛ぶだろう
涙や汗や
こいつの何もかもが
突っ立ってみている

悪い約束、
悪い約束
悪い約束飛んでったんだ
泣ける話を噛み砕きながら

血とか胃液で
いっぱいのクソが
挨拶をして遠ざかった
泣ける話ができそうだった

あんたのライブ
きっと見に行くよ
言わなきゃよかった
知らなきゃ喋ってなかった

悪い約束、ああ
悪い約束
悪い約束知らなかった
君のことも君の音楽も
リズムのとり方
住処も髪型も

薄暗い場所で何もかも決めて
昼間にいきなりありゃ無しなんてできねー
言葉を持たないのは
炎だけじゃない
古臭いものが新しくなるとき
固くて確かな地面を探しちゃいけない

悪い約束、
悪い約束
悪い約束手をつないで
意味で何ができるかなんて
空想の中の海に溺れてた

空想の海面に手を伸ばした
空想のなかで何かが聞こえる
アブクの弾ける音
とびきり小さな泡

空想の海面はきっと
途方もなく広い空想の海洋をなしてるのかもしれないし
ぬるいビールをたたえた大きなコップかもしれない
アブクの弾ける音
大きなコップのほうが
馴染があるよ

慰める言葉が無数に浮かぶ
君は悪くない
悪かったとしても僕には関係ない



自由詩 悪い約束 Copyright 竜門勇気 2021-07-29 13:36:23
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