素敵な音に
塗絵 祐作


 気持ちのよい音楽が滑らかに閉じてゆくと
 いつ終わったか分からないというよりは
 それが終わらないかのように錯覚し
 耳には音が残り続ける

 そういうことが日常で山ほど起きて
 何が始まり何が終わったのか
 ひとつも分からないまま進むのだが
 それはそう悪いことでもないのだ

 あなたにとって終わりであっても
 別の誰かがそれを始まりだと
 過去を知らない様子で言ったとして
 それはそう、それだけのこと





自由詩 素敵な音に Copyright 塗絵 祐作 2021-07-25 22:28:14
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