波状線
komasen333


窓から滲んでくる
環状線を行き交う車の音
ぼんやりとしたそれは
ふるさとの浜辺で聴いた
波の音にも似ている

時折
近づいてくるヘッドライト
住宅街を
さっと擦り抜けてゆく

長い夜になりそうだと
千鳥足のアラブ系住民が
歌うように駅の方へ向かう

よくできました世界
今日も、ほんとよくできました
疲れた身体を労わる
深い蒼い夜が続いていく

片づけなければならないこと
とりあえず明日の朝までに仕上げるべきこと
絞り込んで
グゥ〜と腕を伸ばし
窓からの風を
大きく深呼吸して
2階からの
夜景鑑賞を終わらせる

窓から
うっすらと光が滲んでくるまで
一定のボリュームで
環状線を行き交う車の音は
あの日々の波のように響き続け
鼓動の目安として寄り添ってくれる


自由詩 波状線 Copyright komasen333 2021-07-21 17:23:24
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